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微生物の基礎知識:劇症型溶血性レンサ球菌感染症 (Streptococcal toxic shock syndrome: STSS)

2025 Vol.32 No.1 目次

感染と消毒  2025 Vol.32 No.1 p.22-25 

入門講座
微生物の基礎知識:劇症型溶血性レンサ球菌感染症 (Streptococcal toxic shock syndrome: STSS)
菊池 賢

劇症型溶血性レンサ球菌感染症はレンサ球菌感染症の最も重症な病態で,致死率は 30%に達する.敗血症性ショックに多臓器不全を伴い,死亡するケースのほとんどが発症から 48 時間以内に亡くなる.患者は圧倒的に 60 歳以上の高齢者に多いが,男女差はなく,基礎疾患の有無や重症度などとの関連性はあまり認められない一方,乳幼児から思春期までの若年層の発症はほとんどない.手足,特に下肢の蜂窩織炎などの皮膚軟部組織感染から発症し,壊死性筋膜炎に進展する患者が多い.ペニシリン耐性は知られておらず,抗菌薬治療が有効だが,病態の進展に追いつかず,救命出来ても四肢切断をせざるを得ないことも少なくない.ウィズコロナになり,世界的にSTSS は増加しており,注意喚起が求められる.


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