感染と消毒 2025 Vol.32 No.1 p.31-34
特別講座
新型コロナウイルスに対する追加接種について
宮坂 昌之
新型コロナウイルス感染症では次々と新たな変異株が出現するに連れて,ワクチンの感染予防効果や重症化予防効果が次第に下がってきた.特に,ワクチン接種で得られる中和抗体は,新しい変異株に対してその効果がはっきりと弱くなってきた.一方で,ワクチンの追加接種をすることにより,変異株に対する中和抗体価が一定期間大きく再上昇するだけでなく,T 細胞の反応性も維持されることがわかってきた.重症化予防には特に T 細胞の働きが重要であることから,ワクチンの追加接種は臨床的には有意義であり,T 細胞機能が低下しがちな高齢者や持病を持つ人たちに対しては大いに勧められる.