感染と消毒 2025 Vol.32 No.1 p.35-38
医療の現場から
都内で発症したレプトスピラ症
吉田 恭子,福島 一彰
レプトスピラ症は熱帯病として認識されがちであるが,本邦においても年間 30 例程度の報告が確認されている.河川での活動や豪雨災害による曝露に加えて,都市部においてもネズミとの直接的または間接的接触を介した感染例が報告されている.レプトスピラ症に特異的な検査が実施可能な施設は限られており , 診断に至るまでのハードルが高いが,重症例の致死率は 7% と未だに高く,感染予防がレプトスピラ症対策の最も重要な要素であるといえる.具体的には手袋の着用をはじめとする適切な防護措置や保菌動物等の侵入対策が,効果的な対策の中心を成す.