感染と消毒 2025 Vol.32 No.1 p.47-51
ケア日記
感染制御における“看護師の特定行為”実践の現状と課題
岡田 恵代
感染制御における看護師の特定行為には「感染に係る薬剤投与関連」がある.特定看護師は,医師の指示の下,手順書によって感染症患者に対する抗菌薬投与を行うことができるが,実際には検査結果の取得や患者背景の複雑さから難易度が高く,実践のハードルは高い.薬剤耐性対策が求められる中,感染管理認定看護師は感染対策だけでなく,診療支援や抗菌薬適正使用への参画も重要な役割となっている.その役割を果たすためには,特定行為研修で学ぶフィジカルアセスメントや臨床推論の思考過程が重要であり,今後,特定認定看護師が養成されていくことで感染対策と抗菌薬適正使用(Antimicrobaial stewardship;AS)両方の推進に寄与できることが期待される.ただし,研修には多くの時間と費用がかかることや研修修了後も継続的に医師から指導を受けられる体制整備などの課題がある.