洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

スプレー式消毒用エタノールが各病室にあります。コスト削減のため新しい容器に交換でなく中身を足す(設置された容器のまま。期限表示を変える)方式です。上記方法しかとれない場合の留意点を教示下さい。(G.S.)

スプレー式容器への消毒用エタノールのつぎ足し使用では、定期的(6~12か月ごとなど)にその容器の洗浄・乾燥を行うのが望ましいです。

ご質問者様は、スプレー式容器へのつぎ足し使用による微生物汚染を危惧していると推測されます。実際、スプレー式やディスペンサー式容器ではノズル部分の洗浄や乾燥が構造的に行いにくいので、つぎ足し使用による細菌汚染が生じやすくなります1-3)。図には、スプレー式容器へ0.02%ベンザルコニウム塩化物をつぎ足し使用した場合や、ディスペンサー式容器へ0.4%ベンザルコニウム塩化物をつぎ足し使用した場合での細菌汚染例を示しました。いずれも1mL あたり105個レベルの汚染菌量でした。このように、ベンザルコニウム塩化物やクロルヘキシジンなどの低水準消毒薬のつぎ足し使用では、バークホルデリア・セパシア(セパシア菌)、緑膿菌およびセラチア・マルセッセンスなどの細菌による汚染を招きやすいのです。

しかし、中水準消毒薬である消毒用エタノールのつぎ足し使用では、アルコールが無効な芽胞の汚染のみを考慮すれば良いです4)。長期間にわたるつぎ足し使用により、ゴミやホコリなどとともに混入する芽胞(バチルス・セレウスの芽胞など)が容器にたまるのを防ぐため、6~12か月ごとなどにその容器の洗浄・乾燥を行ってください。

引用文献
  1. Tena D, Carranza R, Barbera R, et al. Outbreak of long-term intravascular catheter-related bacteremia due to Achromobacter xylosoxidans subspecies xylosoxidans in a hemodialysis unit. Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 24: 727-32, 2005.
  2. Oie S, Kamiya A. Microbial contamination of antiseptics and disinfectants. Am J Infect Control. 24: 389-95, 1996.
  3. Pegues DA, Arathoon EG, Samayoa B, et al. Epidemic gram-negative bacteremia in a neonatal intensive care unit in Guatemala. Am J Infect Control. 22: 163-71, 1994.
  4. 尾家重治,敷地恭子.酒造メーカーが発売している高濃度エタノール製品の微生物学的検討.環境感染誌.36: 72-4, 2021.

尾家 重治(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部)
2022年09月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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