洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

使用した肛門鏡は、流しで中性洗剤を用いて用手洗浄した後、ハンドペーパーで拭いて乾燥させ、再度使用してます。消毒は必要だと思うのですが、どうでしょうか?(M.K.)

肛門鏡に関して、「中性洗剤による用手洗浄の後に乾燥のみで再使用」という手順は、肛門鏡の使用目的・使用部位を鑑み、適切な処理とは言えません。

肛門鏡は、肛門から挿入し肛門管および直腸下端部を観察する硬性鏡です。外筒と内筒(マンドリン)からなります(写真参照)。外筒に内筒をセットした形で肛門から挿入したのち、内筒を抜き、外筒をゆっくり引き抜きながら直腸粘膜、痔核の程度、裂肛、肛門ポリープなどを観察します。肛門疾患の診断や処置のために用いられます。

以上のような使用からもわかるように、肛門鏡は粘膜接触します。よって、スポルティングの器具分類では「セミクリティカル器具」であり、高レベル消毒が必要です。また、処置等で粘膜に侵襲的なアプローチをする場合は、「クリティカル器具」として滅菌レベルが必要です。

肛門鏡は一般的に耐熱性器具であり、ウォッシャーディスインフェクター(以下、WD)による洗浄・熱消毒、および高圧蒸気滅菌が可能です。WDによる処理(80℃・10分以上)は、高レベル消毒同等の効果があります。よって、グルタラール等の高レベル消毒薬を用いた消毒法より、WDによる熱消毒を優先選択します。また、高圧蒸気滅菌は最も効果が確実、安全で経済的な滅菌法です。

以上より、肛門鏡の処理は「使用後、可及的速やかにWDによる処理ののち、高圧蒸気滅菌する」が適しています。WDが使用できない場合は、洗浄剤を用いた用手洗浄を行った後に高圧蒸気滅菌を行います。

使用頻度等を考慮し、ディスポーザブル肛門鏡の使用等の選択も可能です。器具の取扱い説明書に記された処理方法を確認した上で、施設における処理・管理方法を手順化し、適切な運用を行いましょう。肛門部に使用する器具であることから、質問者と同様に疑問のある処理方法で再使用されている現状を見直し、交差感染防止を図りましょう。


小野 和代(東京医科歯科大学 統合診療機構 機構長補佐・
医学部附属病院 医療安全管理部GRM・認定看護管理者 感染管理認定看護師)
2022年01月
感染と消毒ホームページ事務局(幸書房内)
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