まず確認すべきは変色しているものがなんであるかをはっきりさせるべきかと考えます。再処理後の変色はすべてに起きているのか、購入した時期、メーカー、器材の流れは変わっていないかなどを確認し、原因に統一性があるか調査することをお勧めします。また、前任の責任者に現物を見せて、本当に過去なかったか確認することもお勧めします。人それぞれ感じ方が異なるため、気になっていなかっただけかもしれません。
比較的新しい器材が昔からある器材に比べて錆びやすいことはよくあります。今回の質問で話されている鋼製小物はステンレスの材質であることが予想されますが、ステンレスとは英語で「stainless steel」といい、錆びない鋼という意味ではありますが、決して錆びないわけではなく、錆びにくい鋼のことを指します。ステンレスは鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含有した合金鋼のことを指し、クロム以外にもニッケル(Ni)などが含まれていることがあります。錆びにくいのは、クロムと酸素が結合することで形成される不動態皮膜があるからです。ステンレスには100種類以上の鋼種があり、SUS304(Steel Use Stainlessステンレスの種類番号)などと表現され、これは「サスサンマルヨン」と読みます。このように、ステンレスといっても多くの種類が存在し、鋼製小物1つとっても、作成するメーカーや鋼製小物の種類によって、構成するステンレスは異なることが予想されます。同じメーカーから購入していても、進歩する医療と共に変化し、鋼製小物の材質や構成がかわっていることがあります。また、熱やけなどは初回に落とすことで再生可能ですが、二度三度の焼き付きで再生不能となります。初回の滅菌で状態を特に確認し、速やかな処理をお勧めします。鋼製小物自体の問題以外にも考えられる事象として、処理する件数が増え、作業者の勤務時間が延長されたことで、汚染器材の再生処理にとりかかる時間が延びてしまうことや、処理後、乾燥不十分な状態で自然乾燥されているような状況があると、器材にとっては錆びが生じやすくなります。その他、洗浄時の水質の確認や作業環境の湿度の変化、蒸気の質が変わったなど、器材に影響するものは多くありますが、変色については一般社団法人日本医療機器学会が出版している「器械の性能を維持する再生処理 第10版」第12項にも例示されている為、参照することをお勧めします。