日本では電子式温水洗浄便座 (シャワートイレ) の普及率は80%を超えており、一般家庭のみならず、医療施設、ホテル、公共施設などにも広く導入されています。シャワートイレの微生物汚染に関しては、日本国内の医療機関における調査で、温水ノズルから黄色ブドウ球菌、レンサ球菌、腸球菌や腸内細菌等の複数の微生物が検出されています1)。シャワートイレは医療関連感染のリザーバーとなり得ることから、共用利用時における適切な管理体制や清掃の重要性が指摘されています1)。近年では欧米を中心に海外でも導入が増加していますが、日本ほど普及していないことから管理方法に関する研究報告は限定的です。
シャワートイレの日常的な管理においては、定期的な清掃・消毒の頻度を一日一回以上とし、便器等に汚染が生じた際にはその都度清掃・消毒を実施することがのぞましいです。使用する清掃剤や消毒剤については、トイレの素材への適合性に留意することが重要です。例えば、ポリプロピレン素材には次亜塩素酸ナトリウムが使用可能である一方、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン (ABS) 素材は変質を生じる可能性があります。このため、ABS素材に対しては、中性洗剤での洗浄後、アルコールによる清拭を基本とすることがのぞましいです。
文献
- Kanayama Katsuse A, et al. Public health and healthcare-associated risk of electric warm-water bidet toilets. J Hosp Infect. 97, 296-300, 2017.
黒須 一見(国立健康危機管理研究機構 (JIHS) 国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター 第四室 (併任) 応用疫学研究センター)
2026年05月