洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

中小病院(100床未満・中央材料部なし)で手術器械を卓上オートクレーブ+シーラーで滅菌しています。インジケータは、タイプ1のCIは使用していますが、内挿型のCIやBIインキュベーター等の設備はありません。財政的にBI導入が難しい場合、低コストでできる滅菌保証の強化策(運用・記録・簡易モニタリング)や具体的手順はありますか。(T.A.)

滅菌工程により微生物が死滅するかの確認にはBIが利用され、一般的には毎日、または運転ごとの使用が推奨されます。定期検査や再適格性確認試験の際のみBIを用い、到達温度と所要時間が同じプログラムを毎回適用してパラメータ変化が検査時と同じであることを確認 (物理的監視) する方法もあり、後者を採用できれば日常コストは低減できますが、滅菌だけでなく、洗浄から保管管理まで、多くの規制があり現状ではさらにコストがかかる恐れがあります。少しずつ条件を整備し、あくまでBI導入の必要性を訴えていくことをお勧めします。

要求が認められるまでの間も、BIが利用できない環境の中で最も質の高い管理方法を目指してください。まず年1回以上の定期的な保守点検を行いましょう。機器の機能が維持されていることを確認し、その記録を保管します。ハーフサイクルでのBIの死滅確認を請けてくれるメーカーもあるので依頼してみましょう。滅菌器内部の温度分布測定、空気排除能力の確認も重要です。点検記録は証明書類として大切に保管しましょう。

滅菌包装内にはタイプ5のCIを用います。タイプ1では滅菌工程を通過したことの目印にしかならず、タイプ4では微生物の死滅速度を反映しません。精度が高いタイプ6も使用可能ですが、運用するサイクルごとに滅菌工程の温度と時間が合致する製品を揃える必要があり高コストです。

PCD (process challenge device:プロセスチャレンジデバイス) の導入もお勧めします。滅菌難度が高い器材を模して、あえて厳しい条件で試験する用具です。コールドスポットと呼ばれる滅菌器内の最も条件が悪い箇所に配置して使用されます。一般的には蒸気が排出される排気口の上がコールドスポットですが、それに限らないため滅菌器メーカーに確認しておきましょう。過積載にならない積載方法、定期的な滅菌バッグのシールチェックと記録、CIの変色が不完全な場合のリコール手順の策定と運用も重要で、標準作業手順書に記載して、作業者によらず高質な滅菌業務を目指しましょう。

最後に、BI導入がコスト面で難しい施設でも、日本医療機器学会の滅菌保証ガイドラインを目標に、まずは施設評価ツールで現状と課題を客観的に可視化できます。さらに、CSSDサーベイ事業による外部評価と助言を受けることで、院内での課題共有や予算確保の根拠が得られるので活用することもお勧めいたします。

参考文献

  1. 医療現場における滅菌保証のガイドライン2021:
    https://www.jsmi.gr.jp/guideline/
  2. 医療現場における滅菌保証のための施設評価ツールVer.1.1:
    https://www.jsmi.gr.jp/jsmi-info/facilities_evaluation_tool_for_sterility_asssurance/
  3. CSSDサーベイ事業:
    https://www.jsmi.gr.jp/jsmi-info/cssdsurvey/

大川 博史(東京大学医学部附属病院 材料管理部 助教)
2026年04月