トリガータイプのスプレーポンプ（ノズル部分）は、洗浄や乾燥が行いにくいので、微生物汚染を受けやすいです。図には緑茶およびベンザルコニウム塩化物（低水準消毒薬）の細菌汚染例を示しましたが、おもな汚染原因はノズル部分の汚染と推定されました。しかし、中水準消毒薬である消毒用エタノールの場合では、細菌芽胞を除いて汚染を受けることはありません。ゴミやホコリなどとともにバチルス属などの芽胞が少量混入することはあっても、増殖することはありません。したがって、消毒用エタノールの場合では、スプレーポンプの交換の目安を6か月毎などとして差し支えないでしょう。

なお、一般論ですが、消毒薬の噴霧は清拭に比べて消毒効果が大幅に低下します^1,2)。噴霧では消毒対象全面に消毒薬が接触する訳ではありませんし、拭き取り効果も期待できないからです。また、次亜塩素酸ナトリウムやベンザルコニウム塩化物などの噴霧では、喘息などの曝露毒性が問題になることが分かっています^3-7)。さらに、1998年に改正された感染症法では、消毒薬の噴霧は推奨されていません⁸⁾。したがって、消毒用エタノールであっても、噴霧使用は望ましくありません。

ただし、ご質問者が行っておられるような清拭用としての散布は問題ありません。

図．トリガータイプのスプレーボトル液の細菌汚染例
左；７日間にわたりつぎ足し使用していた緑茶，右；２か月間にわたりつぎ足し使用していた0.02％ベンザルコニウム塩化物