洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

一般的に二重手袋は推奨されていませんが、吐物処理の時の二重手袋はいかがでしょうか。 (S.M.)

米国CDCは、一般的には標準予防策あるいは感染経路予防策の一環として二重手袋を推奨していない1) と明示しています。吐物処理時に「二重手袋を行うこと」を明確に推奨しているガイドラインはなく、基本的には医療機関や介護福祉施設等で吐物処理を行う際は一重手袋を使用し、汚染の際に交換します。災害時の避難所等においても、日本環境感染学会が公開している吐物・汚物の処理に関する手順書(第1版)には、手袋は必要に応じて交換できるよう2組準備2) と記載があり、二重手袋を推奨してはいません。

ただし、発生場面のリスク評価に基づき、曝露リスクが高いと判断された場合には二重手袋も1つの選択肢となります。例えば、吐物量が多い場合や作業者の汚染リスクが高いと判断した場合には、二重手袋を選択することも一案です。このような場合、単に二重に着用するのではなく、外側手袋は汚染作業専用とし汚染された時点で外すこと、内側の手袋も汚染されている可能性はあり、すべての作業が終了し手袋を外した後に手指衛生を必ず実施することなど、手袋の使い分けや着脱手順について明確なルールを決め、教育・周知することが重要と考えます。

また、米国CDC3) や世界保健機関 (WHO) 4) は、一般的な吐物処理や接触予防策とは異なり、疾患特異的に極めて高い曝露リスクが想定されるエボラウイルス病やマールブルグ病などのウイルス性出血熱患者の診療・ケアにおいては、二重手袋を含む厳重な個人防護具の着用を明確に推奨しています。

引用文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC).Strategies for Conserving the Supply of Disposable Medical Gloves. 2024
    https://www.cdc.gov/niosh/healthcare/hcp/pandemic/conserving-disposable-gloves.html
    [2026年2月5日閲覧]
  2. 日本環境感染学会 DICT 後方支援チーム.吐物・汚物の処理に関する手順書(第1版)2024年2月4日発行.
    https://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/manual_240205.pdf
    [2026年2月5日閲覧]
  3. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Guidance for Personal Protective Equipment (PPE) for Viral Hemorrhagic Fevers including Ebola. 2024
    https://www.cdc.gov/viral-hemorrhagic-fevers/hcp/guidance/index.html
    [2026年2月5日閲覧]
  4. World Health Organization (WHO). Infection prevention and control guideline for Ebola and Marburg disease. 2023
    https://www.who.int/publications/i/item/WHO-WPE-CRS-HCR-2023.1
    [2026年2月5日閲覧]

黒須 一見(国立健康危機管理研究機構 (JIHS) 国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター 第四室 (併任) 応用疫学研究センター)
2026年02月