ノロウイルスは嘔吐により空気中へ拡散する可能性があり、アウトブレイク時に患者が嘔吐した後の病室内空気からノロウイルスRNAが検出されたことが報告1)されています。さらに、模擬研究では、嘔吐に伴う飛沫が約3メートル離れた場所まで到達する可能性2)が示されています。これらの知見から、感染対策では吐物処理時の飛散を最小化することが重要であり、0.1%次亜塩素酸ナトリウムを染み込ませたペーパータオル等で覆う、または浸すように拭きとる方法が標準とされています3)。泡状の塩素系洗浄剤もノズルから液体を噴射して液滴を形成する構造であることから、噴射操作が必要となり、微粒子の発生を完全には否定できません。このため、吐物への直接噴霧は推奨されず、ペーパータオル等に次亜塩素酸ナトリウムを含む泡製剤を浸して使用することがのぞましいと考えます。
引用文献
- Bonifait L, Charlebois R, Vimont A, et al. Detection and quantification of airborne norovirus during outbreaks in healthcare facilities. Clin Infect Dis. 2015 Aug 1;61(3):299-304.
- Tung-Thompson G, Libera DA, Koch KL, et al. Aerosolization of a Human Norovirus Surrogate, Bacteriophage MS2, during Simulated Vomiting. PLoS One. 2015 Aug 19;10(8):e0134277.
- 東京都福祉保健局.社会福祉施設等におけるノロウイルス対応標準マニュアル.
黒須 一見(国立健康危機管理研究機構 (JIHS) 国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター 第四室 (併任) 応用疫学研究センター)
2026年04月