洗浄・消毒・滅菌 Q&A

回答については、質問をいただいた時の基準に沿って回答しておりますので、現時点とは異なっている場合もございます。

当院ではウォッシャーディスインフェクターやベッドパンウォッシャーを導入していないため、様々な器材を次亜塩素酸ナトリウムに浸漬して消毒しています。今回は、特に経管栄養ボトルと気管カニューレ内筒についてお伺いします。 次亜塩素酸ナトリウム浸漬後のすすぎについて、必ずしも必要でないという文献がある一方、流水あるいは滅菌水ですすぐとする文献もあります。どのように解釈すればよいでしょうか。 また、乾燥が難しい場合は、使用直前まで浸漬した状態で保管する方法でもよいのでしょうか。(M.T.)

次亜塩素酸ナトリウム浸漬後のすすぎについて、「必ずしも必要ない」および「流水などですすぐ」いずれの文献も間違いではありません。状況に応じて使い分けてください。

経管栄養ボトルと気管カニューレ内筒それぞれについてお答えします。

経管栄養ボトル
・すすぎ
次亜塩素酸ナトリウム浸漬後のすすぎは必ずしも必要ではありません。なぜなら、経管栄養ボトル内に残留した次亜塩素酸ナトリウムは、経管栄養液を入れた時点で微量の食塩に変化するからです1,2)。すなわち、すすがなくても次亜塩素酸ナトリウムの残留はありません。

なお、経管栄養ボトルのすすぎを行わないで使用すると、ボトルの外表面に残留した次亜塩素酸ナトリウムの「臭い」がくさいと言われる患者さんがたまにおられます。この際には、次亜塩素酸ナトリウム浸漬後のすすぎを行ってください。



・乾燥
流水でのすすぎを行った場合には、その後に食器乾燥器で乾燥させて保管します(図1)。使用している経管栄養ボトルが少なければ(数個などであれば)、この方法で対応可能です。

しかし、経管栄養ボトルの数が多くて、乾燥が難しい場合には、使用直前まで次亜塩素酸ナトリウムへ浸漬した状態で保管する方法が勧められます(図2)。液切りを行って使用します。



気管カニューレ内筒
経管栄養ボトルと異なり、かさばらないので乾燥させやすいです。したがって、次亜塩素酸ナトリウム浸漬後にはすすぎを行って、食器乾燥器などで十分に乾燥させておくのが望ましいです。

なお、すすぎが不十分であっても、食器乾燥器などで乾燥させれば、気管カニューレ内筒への次亜塩素酸ナトリウムの残留はありません。次亜塩素酸ナトリウムは、乾燥時に塩素ガス(Cl2)として蒸発するからです。


以上、経管栄養ボトルと気管カニューレ内筒の再使用についてお答えしましたが、いずれの製品も添付文書では再使用禁止となっていることにご配慮ください。

厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知「単回使用医療機器の取扱の周知徹底について」(薬食安発0619第1号)2014年6月19日、(医政発0827第15号)2015年8月27日再通知によれば、「単回使用医療機器については、その旨医療機器の添付文書に明示されているが、・・・(中略)・・・添付文書の記載を遵守するとともに、特段の合理的理由がない限り単回使用医療機器を再使用しないよう、改めて医療機関への周知をお願いする。」となっています。ご留意下さい。

引用文献

  1. Oie S, Kamiya A. Comparison of microbial contamination of enteral feeding solution between repeated use of administration sets washing with water and after washing followed by disinfection. J Hosp Infect. 48 (4) : 304-307, 2001.
  2. 大久保 憲, 尾家重治, 金光敬二 編集, 2025年版 消毒と滅菌のガイドライン. 東京:へるす出版 2025年2月.

尾家 重治(病院衛生研究所)
2026年08月